みなさん、お久しぶりです。長い間記事のアップデートがありませんでしたがこれからはこまめに書いていきたいと思います。※次回7月月末を予定しています。
さて、今回は"製品を斬る"と題してAudinst社のポータブルヘッドフォンアンプ"AMP-HP"を斬りこんでみたいと思います。この製品はアナログINPUTヘッドフォンOUTPUTという極めてアナログな内容ですが充電機能も備わっていますのでアウトドアな用途にはシンプルかつ便利なものです。前々から価格の手ごろさと音の良さでは定評がありますがなぜなのか疑問を持っていました。そこで中身をじっくり見て、測定までしてみようというわけです。
中を見ますと新日本無線のMUSE8820が1つ見えます、おや?これだけか?と思いましたが、220と101と書いたコイルのようなものがみえます、コイルがあるということはほとんどの場合DC-DCコンバータありということで裏を見ますと結構チップ部品が搭載されていました。
型番を虫眼鏡で見てNETで調べてみると電源部分がたいそう凝った回路であることが分かります。 充電電池はニッケル水素電池ですので3.6Vしかありません。それをDC-DCコンバータで+5Vと-5Vの正負両電源にしています。OPAMPにとって理想的な動作ができる+/-電源です。 ポータブルヘッドフォンアンプの泣き所である電源電圧の低さと片電源をこれで見事に解決しています。 さらに詳しく見るとなんとアナログデバイセス社のAD8397Aがありました。(↓写真赤丸)
これはOtomatsuのOPAMP比較表、http://www.aurorasound.jp/OPAMPhikau.htmlでも書きましたが、低電圧でも非常に強力なドライブ力のあるOPAMPです。配線パターンを追っていきますとこれを最終段に使っているのがわかります。どおりでガンガン鳴るわけです。MUSE8820は入力段のようです、ここで入力信号を整えてAD8397Aに送っているのでしょう。ここまでで十分このAMP-HPが手のこんだまじめな回路であることが分かります。そこからも分かる様に正攻法でよい音を出そうとしています。
さあ、ここからちょっと厳しくなります。日本のオーディオ雑誌などでは製品を測ってその本当の 性能を暴くということはほとんどしませんが、海外の雑誌STEREOPHILEなどではよく見かけます。するほうもされるほうも真剣勝負みたいなところがあってとても興味深いものがあります。
ではさっそく見てみましょう。まずは方形波の波形です。方形波は四角い波形で立ち上がりが鋭いのでアンプの動的な反応を見るのに適しています。音が入って動いて消えてどういう反応を示すかです。見ごとな出力波形が出ました。立ち上がって平らなになってまた下がるというきれいな追従を示しています。悪い波形は立ち上がったところで行きすぎてしばらく振動を繰り返してリンギングし、下がったところでまた行きすぎるという動作を示しますがこれは全くその気配が見られません。これは高域まですうーとフラットな周波数特性であり、限界のところできれいにゆっくり下がっていくという理想的な特性が想像されます。どこかにピークのある周波数特性ではない、非常にフラットな特性です。
さて、今回は"製品を斬る"と題してAudinst社のポータブルヘッドフォンアンプ"AMP-HP"を斬りこんでみたいと思います。この製品はアナログINPUTヘッドフォンOUTPUTという極めてアナログな内容ですが充電機能も備わっていますのでアウトドアな用途にはシンプルかつ便利なものです。前々から価格の手ごろさと音の良さでは定評がありますがなぜなのか疑問を持っていました。そこで中身をじっくり見て、測定までしてみようというわけです。
中を見ますと新日本無線のMUSE8820が1つ見えます、おや?これだけか?と思いましたが、220と101と書いたコイルのようなものがみえます、コイルがあるということはほとんどの場合DC-DCコンバータありということで裏を見ますと結構チップ部品が搭載されていました。
型番を虫眼鏡で見てNETで調べてみると電源部分がたいそう凝った回路であることが分かります。 充電電池はニッケル水素電池ですので3.6Vしかありません。それをDC-DCコンバータで+5Vと-5Vの正負両電源にしています。OPAMPにとって理想的な動作ができる+/-電源です。 ポータブルヘッドフォンアンプの泣き所である電源電圧の低さと片電源をこれで見事に解決しています。 さらに詳しく見るとなんとアナログデバイセス社のAD8397Aがありました。(↓写真赤丸)
これはOtomatsuのOPAMP比較表、http://www.aurorasound.jp/OPAMPhikau.htmlでも書きましたが、低電圧でも非常に強力なドライブ力のあるOPAMPです。配線パターンを追っていきますとこれを最終段に使っているのがわかります。どおりでガンガン鳴るわけです。MUSE8820は入力段のようです、ここで入力信号を整えてAD8397Aに送っているのでしょう。ここまでで十分このAMP-HPが手のこんだまじめな回路であることが分かります。そこからも分かる様に正攻法でよい音を出そうとしています。
さあ、ここからちょっと厳しくなります。日本のオーディオ雑誌などでは製品を測ってその本当の 性能を暴くということはほとんどしませんが、海外の雑誌STEREOPHILEなどではよく見かけます。するほうもされるほうも真剣勝負みたいなところがあってとても興味深いものがあります。
ではさっそく見てみましょう。まずは方形波の波形です。方形波は四角い波形で立ち上がりが鋭いのでアンプの動的な反応を見るのに適しています。音が入って動いて消えてどういう反応を示すかです。見ごとな出力波形が出ました。立ち上がって平らなになってまた下がるというきれいな追従を示しています。悪い波形は立ち上がったところで行きすぎてしばらく振動を繰り返してリンギングし、下がったところでまた行きすぎるという動作を示しますがこれは全くその気配が見られません。これは高域まですうーとフラットな周波数特性であり、限界のところできれいにゆっくり下がっていくという理想的な特性が想像されます。どこかにピークのある周波数特性ではない、非常にフラットな特性です。
次に最大出力は何ワットかを見てみましょう。 INPUTをどんどん大きくして行って、どこでサイン波の頭がつぶれるかです。2.44Vrmsが最大の 一歩手前でした。負荷は40Ωです。一般的なポータブル系ヘッドフォンのインピーダンスは60Ωなのですが、今回はそれよりちょっと厳しい40Ωで見てみました。2.44Vrmsですので 2.44x2.44/40=148mW ステレオで296mW、 これはポータブルでは十分な音量です。INPUTとOUTPUTが反対の波形になっていますのでこれは反転AMP出ることが分かります。
その時の歪率は 0.0046%です、この数字も素晴らしい値です。全くひずみが感じられないというレベルです。 この優秀な特性はMUSE8820とAD8397Aを+/-量電源できちんと動作させたたまものでしょう。 全く非の打ちどころのない結果が出ました。 ではこれをOPA627に変えてみたらどうなるのか?やってみましょう。 MUSE8820とOPA627のスペックでは雑音特性は両方とも4.5nV/√Hzと同じですが一番大きな違いはスルーレートでしょう。MUSE8820は5V/usecに対しOPA627では55V/usecと約11倍よいです。これは鋭い立ち上がりの音が来たときにどれだけハイスピードで反応できるかです。しかし結果は変わりませんでした。両方とも3.04V/usecです。AD8394Aも50V近いスルーレートがあるのでこれが制限しているとは思えません。これはOPAMPの特性というよりは周辺のコンデンサや抵抗、位相補正回路等で押さえているのでしょう。カーソル1とカーソル2の間が1usec(100万分の1秒)で△3.04Vということは3.04V上がっている、つまりスルーレートは3.04Vパーマイクロセカンドとなります。
しかし音の違いは出てきました。MUSE8820はドラマティックで官能的な鳴りですがOPA627は抑制の効いた大人の音です。8820は中域に太さがあって時としてはめをはずしそうな感じでそれが大変魅力的です、OPA627はきれいな高域中域で安心感があり上流階級な感じです。どちらがよいかは読者の皆さんのお好みでお試しください。OPA627 x2のブラウンドッグ表裏変換基板搭載品は秋葉原ラジオセンターの三栄電波で買うことができるので、皆さんもお試し頂いてはどうでしょうか?
くれぐれもOPAMP交換は自己責任なので向きを間違えたり、足を折ってしまわぬ様、慎重に 行って頂きたい。
しかし音の違いは出てきました。MUSE8820はドラマティックで官能的な鳴りですがOPA627は抑制の効いた大人の音です。8820は中域に太さがあって時としてはめをはずしそうな感じでそれが大変魅力的です、OPA627はきれいな高域中域で安心感があり上流階級な感じです。どちらがよいかは読者の皆さんのお好みでお試しください。OPA627 x2のブラウンドッグ表裏変換基板搭載品は秋葉原ラジオセンターの三栄電波で買うことができるので、皆さんもお試し頂いてはどうでしょうか?
くれぐれもOPAMP交換は自己責任なので向きを間違えたり、足を折ってしまわぬ様、慎重に 行って頂きたい。
米国テキサス州の半導体会社にて長年デジタルAVのLSIの企画開発やマーケティングを担当。はじめて使ったオペアンプはRC4558で、学生時代のエレキギターエフェクターは自作だった。アナログからデジタルまでの幅広い知識と経験を生かし、現在は各種オーディオコンサルティングやアンプの設計製作に専念。ハンドメイドオーディオ工房"オーロラサウンド"所属。趣味はギター演奏。
超初歩的な事です。MC33079PをLME49740にそのまま置き換えできるのでしょうか?
LME49740は最近の新しい設計です。SPECの全ての項目でMC33079をしのいでいます。
4回路入りでPIN配列も同じで位相補償もオフセット調節端子もありませんし0dBでも使えるので、そのままで置き換えができるでしょう。しかし電源電圧の最大値がMC33079は+/-18Vに対して+/-17Vまでしかありません。もし今の回路が+/-17Vから+/-18Vの間でしたらLME49740にとってかなり厳しい条件となり最悪は壊れるでしょう。+/-17V以下であればOKでしょう。
メタルカンをソケットに挿して使用する場合はどのようにすれば一番良いでしょうか。またオペアンプの保管方法です。が間に合せでメラミンスポンジに挿してプラスチックケースに入れてあるのですが問題ないでしょうか?
メタルカンを8ピンソケットさすには、そのままさすことができます。
ただしメタルカンはPINのマークが8PINにありますので最初のPINはどれかを間違えないようにしてください。PINの並びの順番は同じですので1PINさえ間違わなければOKです。 詳しくは「オペアンプ道 第2話」をご覧ください。
OPAMPの保管ですが、導電性の黒いマットにさして保管してください。メラニンスポンジでは電気を通さないし、最悪、静電気が発生してOPAMPを壊してしまうかもしれません。導電性マットは秋葉原ですと秋月商会や千石電商で買えます。また保管は湿気の少ないところ、できれば、密封製の良い箱に入れてくシリカゲルなどを入れてださい。湿気が多いと足のPINが変色したりして導通が悪くなります。
OPAMPの保管ですが、導電性の黒いマットにさして保管してください。メラニンスポンジでは電気を通さないし、最悪、静電気が発生してOPAMPを壊してしまうかもしれません。導電性マットは秋葉原ですと秋月商会や千石電商で買えます。また保管は湿気の少ないところ、できれば、密封製の良い箱に入れてくシリカゲルなどを入れてださい。湿気が多いと足のPINが変色したりして導通が悪くなります。